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自分たちが作って、自分たちが楽しむイベント

坂倉 特にイベントをしようとしているわけではありませんが、週2~3回は何らかのイベントが起こります。スタッフだけが準備するのではありません。スタッフは、来た人がやりたいと思ったことをイベント化するお手伝いをしようと、そういう気軽な気持ちでやっています。

真面目な人ほどイベントをやるときに、ちゃんとチラシを作らねばならないとか、広報して集客せねばと、どんどんハードルが上がっていくと思うんですね。芝の家では、むしろその場でできることはその日にやろうという感じです。

例えば、ゼリー作りをしようというイベントがありましたが、あれも、おそらくその場で子どもたちが「ゼリー作りたい」と言うので、「じゃ、作ろうか。だけど今ゼラチンがないから、買っておくので、来週の水曜日やろうね。だから今日は、チラシを作ろう」といった具合で、気楽にやっています。

学生さんがワークショップをやったり、近所に住んでいるフランス人のお兄さんが読み聞かせをしたり、また、8年間継続されている名物イベントで、ジャズの名盤レコードをちょっとしたうんちくとともにお酒を飲みながら聞こうというもの、芝の家の向かいの会社で働いているお兄さんが落語の「芝浜」を演じてくれたり、というのもあります。

専門家を外から連れてきてイベントをやるというよりも、そこに住んでいる方、関わっている方々のやりたいことや特技を生かして、一緒に皆で楽しめる舞台を作ろうという感じです。

それで、年に1回、「いろはにほへと芝まつり」を開催しています。芝の家ができて1年経ったときに何か記念のイベントをやろうと考えたのですが、関わってくれた方々全員に声をかけて来てもらっても、芝の家は狭いので中に入りきらない。じゃ、前の通りでお祭りみたいなことができないか、と始まりました。今は準備する側だけで100人以上、子どもからお母さん、町会、芝の家のスタッフ、いろいろな方が関わって、自分たちが作って自分たちが楽しむお祭りをやっています。

%e3%83%81%e3%83%a9%e3%82%b7今年のお祭りは10月16日(日)です

芝の家の周りに「いろは通り」という通りがあります。通りに面したいろいろな民有地、普段はトラックが止まっている駐車場や畳屋さんの土間などをその日だけ借りてイベント会場にしています。例えば、小学生がネイルアートをしたり、クッキーを作って売ったり、ラジオ局をやって小学校の先生がゲストとして話をしたり、町会の人が焼きそばをつくる、おかあちゃんたちが駄菓子屋をやるとか、いろいろな形で普段来ている人がその日お店を出して、皆で楽しみます。

こうしたイベントに限らず、毎日オープンしている場所ですので、そこで出会った方々によって何かしら、いろいろな活動がたくさん起こっています。誰かのためにやるというよりは自分たちがやりたいからやる。子育てを地域の人たちと一緒にできる場をつくるプロジェクトや、おばちゃんやおねえさんたちが集まって毎週パッチワークをやるとか、こうした活動もたくさん起こっています。

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ちょっとした工夫がコミュニケーションのきっかけになる