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振り返りの時間が、芝の家の文化をつくる

坂倉  また、一日の終わりは、その日どういうことがあったか、どんなことを感じたのかということをシェアしています。人と人がいろいろな形で関わる場所に付き添っていると、けっこう疲れるんですね。特に何か問題が起こらなかったとしても、例えば、子どもが来てすごく楽しそうに遊んでいるときはいいのだけど、だんだん盛り上がってきて、さすがに危険なのではないかと思って、「やばい、どうしよう、止めようかな、でも楽しそうだから、止めるのも忍びないな、どうしたらいいんだろう」と悩んでいるうちに、子どもたちが別の遊びに移ってしまった、ということがあったとします。

これは何も問題は起こっていないし、ケガもしていないので大丈夫なんですが、私たちは対人関係のプロではないので、「あれでよかったんだっけ?」と何かモヤモヤした気持ちが残ったりします。

そういうものをちゃんと話し合ってから帰らないと、明日また来るのがしんどくなることがあるので、最初は、とにかく今日はどうだったか、ということをちゃんと感情の部分も含めて話そうとやっていました。最初は、若い人がスタッフとして多かったということもあり、号泣するスタッフもいて大変でした。話し合いに2〜3時間かかってしまい、それは逆に体力が消耗するから、最大1時間半でやめましょうといったルールを作ったりしました。

現在は、そこまでやることはほぼなくなっていて、2、30分お茶を飲みながら、今日会った事を振り返ることで済んでいます。

この終わりのミーティングですごく大事なのは、その日起こった「こういうこと、よかったよね」とか、「これ、ちょっとどうかと思うけど、どうしよう」といったことを毎日話すんですね。特に記録をとりませんが、これをすることにより、お当番の人たちが大切にしたい価値観、「芝の家らしさというのはこういうことだね」ということが自然に共有されます。この振り返りの時間が芝の家の文化を作っていると思います。

芝の家のスタッフがやっていることは、接客ではなく、来た方のやること、来た方々が場を共有する過程で起こることをじゃませず、おもしろそうだなということを促進してあげるぐらいのことです。スタッフが見守り役みたいな位置にいることで、来た方が自分らしさを発揮して、新鮮な気持ちで1日を過ごすことができるのではないかなと思っています。

山納 自分が自分らしくあるとか、リラックスした状態でそこにいるということを「開く」といいます。場づくりにおいては、それがすごく大事な要素を占めていると思います。「居場所」と呼ばれるところだけでなく、会社や自宅などいろいろなところで、どうやったらできるのだろうか、とすごく感じました。
坂倉さん、ありがとうございました。

質疑につづきます