様々な水辺プロジェクトをたくさんのスライドを交えてご紹介いただき、お二人の楽しい掛け合いもあって、まさに著書のダイジェスト版となる会でした。
水辺アクションの様々な事例は、『都市を変える水辺アクション』に詳しく書かれています。ぜひご一読ごください。
*写真 左:山根秀宣さん、右:泉英明さん
大阪の水辺プロジェクトを支える民の力
大阪のプロジェクトを解説いただきましたが、その中で特に印象に残ったことは、なぜ、大阪でこうした水辺プロジェクトが進んだのかということです。
泉さんは、多様な舟運ができてきた要因は「大阪水上安全協会」「大阪シティクルーズ協議会」という2つの団体にあると言います。
泉:「大阪水上安全協会」は、1986年(昭和61年)に設立された団体で、観光船だけでなく、砂や砂糖を運ぶ船や作業船などが加盟し、水辺の航行安全を担ってきた団体です。大阪府や大阪市が持つ船着場の管理をこの協会が一手に引き受けています。特定非営利活動法人であり、いわば民間で統括しているわけです。どの船着場に、どの船が停泊しているかを管理しており、またその情報はホームページで公開しています。こういう組織は全国的にもありません。
こうした団体ができたきっかけは、1983年(昭和58年)に大阪水上バス(京阪グループ)が開業するも、航路を確保するために様々な船会社と競業せねばならず、利害調整が非常に大変だった。その仲介をいちいち行政に持ってこられては、彼らもたまったものではなない。そこで、一括で対応する団体が設けられたのが水上安全協会の前身となります。既存の舟運事業者からのクレーム対応から始まり、その後、行政からの信頼も得て、船着場の管理を任されるようになりました。
また、「大阪シティクルーズ推進協議会」は、舟運事業会社が参加して2007年に発足した団体です。舟運活性化を目的に、「大阪シティクルーズ」というブランドを立ち上げ、河川を巡る様々なイベントクルーズや、水都2009の開催など多数の水辺のアクティビティを実施して水辺のまちの活性化をめざしています。
こうした舟運事業者や関係事業者を横串にした組織があることで、何かアイデアがあれば相談に乗ってもらえるし、事業者とも調整してくれます。大阪の水辺の活性化は、こうした大変素晴らしい組織があるおかげだと言えます。
船着場と水上交通ルールなどの利用ルールが可視化されているため、様々な相談がこれら民間組織に持ち込まれ、新しいビジネスが生まれやすい環境になっているというわけです。
こちらにも記事があります、ご参考まで。
「船着場と水上交通ルールがオープンな水辺を生みす」
http://mizbering.jp/archives/7365