質問3 コミュニティスペースは、ビジネスとして成り立つのでしょうか? また、コミュニティスペースとカフェは、似て非なるものがあると思いますが、整理がつきません。

山納 ビジネスということは、収入から支出を差し引いた額がプラスになり、活動が持続可能な状態です。ビジネスとして成立させるためには、一定の売上があること。それは不特定多数が来るモデルであっても、特定少数のモデルでも構わない。また、費用が極力かからない仕組みになっていること、それは物件の家賃がすごく安い、自宅だから家賃がかからない、スタッフがボランティアベースで動いているから人件費があまりかからない等です。あるいは、お客さんが満足してリピートしてくれるから売上が立つ、といったことなのだろうと思います。

場づくりでは、特に、公共的なミッションを持っている場はすごく大変で、来る方々を受け入れないといけません。つまり、厄介な人に対する対応です。

『カフェという場のつくり方』では、例えば、女の子が1人でカフェをやっていたりすると、安手のスナックだと思って来るおっちゃんがいて、他のお客さんに迷惑をかけたり、場合によっては忙しいのに自分の話ばかりずっとされるから、店主の方が病んでしまう可能性があります。飲食店を自分の城としてちゃんと構えていくのであれば、場合によっては出入り禁止という一線をもって、その人と接することが必要だ、と書きました。

でも、今回の本では、全く逆で、毎日やってくる人は、「ここにしか自分の場がない」という人かもしれない。社会においてそれを受け入れるという役割が必要で、だからこそ公共が税金を投じて、その場を作っているわけです。こうした場を維持するには、それなりの覚悟が要りますよ、ということを書いています。

ビジネスであれば、収入マイナス支出からちゃんと自分の給料も出て、持続可能な状態で続いていくことが求められますし、一方で、全てのお店や場があらゆる人を受け入れる必要は、たぶんないでしょう。どこをどうコントロールするかだと僕は考えています。

坂倉 カフェと場づくりは、トレードオフの関係にあるといえるかもしれません。

ビジネスとしてのカフェは、できるだけ客単価や回転数を上げるなどして、たくさん儲ける仕組みです。ところが、場づくりは、できるだけその人に長くいてほしいし、毎日来てほしいから、安価で提供したい。この1点だけを見ても、両立は相当無理がある。

今問題なのは、コミュニティカフェを作れば、自分が直面している課題が解決するはずだと、安易にカフェという方式で場づくりをしようとする人が多い。よく考えたらわかるのですが、それを意識せずに始めちゃうと、経営的につらくなるのは当然のことだと思うんです。

だけど、カフェという方式はすごく可能性があって、何でこうも人間は毎日コーヒーを飲むのか、何でずっとお茶をしながら人と一緒にいなければいけないのか、そこで何が生まれているのかよくわからないのだけれども、きっと人間にとって本質的に必要な行為だと思うんですね。だから、お茶を飲みながら一緒に皆で話をするところを、社会にどんどん作っていった方がたぶん良さそうだと。

けれども、商習慣の中でそれをやるとしたら、やはりひと工夫必要です。お茶を飲みながら関われる場所を作るための新しいビジネスモデルをちゃんと考えてやると、その場所らしい集まり方ができるのではないかなと思っています。

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4 場がうまくいくのはノウハウやコツ、それとも個人の資質なのか?