質問7 障害のある子どもたちの場が乏しい、何とかしたいという思いがあります。障害のあるなしに関わらないインクルーシブな空間に対する可能性について、ご意見をお聞かせください。

山納 場に対して主体的に関わることができるということは、カフェやカフェ的な空間の1つの力だと思います。「お客」としてサービスを受ける対象としてしか考えられていなかった人が、主体的に何かを発信するとか関わることができる、ということです。

もう一つが、世の中一般とは違う価値観を、この小さな空間では築くことができる、という可能性です。世の中はどんどん世知辛くなっていくし、効率的になっていくし、いろいろな人を排除していく方向に向かっているのかなという気がしています。それとは違う価値観をきっちりと保つという役割を、小さなカフェ的空間は果たすことができるのではないか。そういう可能性を信じています。

坂倉 私もその通りだと、本当に場をつくることしかもう手はないのかなと思うぐらいです。「障害のある子とない子が一緒にいていいんだよ」と言って、彼らをそうさせることは、もうほぼ無理。それを本当に認めている人の周りにしか、そういう場はできないと思うんです。

もちろんそれをやると、すごく軋轢はあると思いますが、本当に全力で進めていってほしいと思います。1人でも2人でも、本当に障害のある人、ない人が当たり前にいられる場所を、その小さい場の中で実現してほしいと感じました。いろいろ言ってくる人はいっぱいいると思いますが、気にしないで。

最近、本当に、非当事者があれこれ言うことがどれだけ社会をつまらなくしているか。それこそ排除じゃないかと思うことがあります。「障害のある方はたぶんこうだから、こうしたほうがいいんじゃないですか」というようなことです。本人は悪気はないんですね。

だけど、真面目な人が多いので、それを真に受けて「確かにそうですよね」となった瞬間に、本来なくてもいい差別が実態化することがあります。誰も悪気はないのに、そういうことが起こっています。やはり、本当に大事だと思う人が自分の体を張って、小さくてもいいので、ここはそういう価値観で満たされている場所なんだ、というものをつくっていくことが大切だと感じています。

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8 コミュニティスペースに来てもらうには?